今、あらゆる面において日本の底力が問われている。モノづくりにおいてもそう。ジャパンクオリティへの信頼は未だ揺るがないが、そこに安住しては発展も進化も見込めない。日本製スーツケースブランドの「プロテカ」は、今年でブランド生誕20周年を迎える。その間、生産は経験豊富な職人たちが集う北海道の赤平工場にこだわり、日本製の質を担保しながら時代の変化と共に日々挑戦を続けてきた。根底にあるのはジャパンメイドの誇りである。昨春、その心意気を目に見える形で示してくれたのが野球日本代表だ。率いたのは、現北海道日本ハムファイターズ チーフ・ベースボール・オフィサーの栗山英樹氏。彼もまた、日本の底力を信じて疑わない。そんな彼に日本の強み、そして自身も使用してきたプロテカの魅力について伺った。

誰かのために尽くせる。
その民族性こそ日本の強み

日本を代表する野球人たちが一致団結し勝利を掴み取る姿は、実に痛快だった。今なお蘇る熱い記憶。世界の頂点に上り詰めた個性派集団をまとめあげた男こそ、栗山英樹氏その人である。そんな彼が思う日本の良さ、強みとはズバリ、献身だ。

「自分を制し誰かのために尽くす、それこそ日本人の本質だと僕は思っています。それをみんなが発揮してくれれば勝てるチームになるだろうとはイメージしていました。とにかく心掛けたのは、全員が特徴を最大限発揮できるようにすること。もともと力のある人たちなので、その環境さえ整えてあげれば勝負できると考えていました」。

思い返せば、試合前の円陣で中心にいたのは選手たち。経験豊富なベテランが若手へ積極的に声をかけ自主的に絆を深めていったプロセスは、多くのメディアでも取り上げられてきた。

「よくリーダーの資質に関する質問をいただきますが、僕なんかまだまだ。ただ、監督を選ぶ立場であれば“担がれる人”にお願いするでしょう。絶対的なオーラを放つ人の言うことを誰もが聞く時代はもう過ぎたような気がしています。むしろ、この人のために手伝ってあげたい、この人のために頑張りたい、そう思わせる資質を持った人。生き様というんですかね。その部分でみんなに愛されるものがないと、組織は前に進まないと思っていました」。

「スーツは好きで形にはこだわっています。」という栗山氏。移動時でもスーツをビシッと着こなしていることで知られる。

それを心に秘めているからこそ、世界を舞台に活躍する“教え子たち”も栗山氏のもとに集ったのだろう。そんな彼の根底にあるのは、「常識は最初からそれが常識ではない」という真理。だからこそ、冷静な目、フラットな考え方に辿り着く。それはなにも野球に限ったことではない。

「常識には、そうなるスタートが絶対にあるはずで、そのポイントをこちらが見つけるだけなんですよ。例えば、昔は旅行時にバッグを引いて歩くなど考えつかなかったと思います。それが当たり前になると、今度は後ろの人に邪魔にならない、自分も不快にならず周りもさせない機能が生まれ、それが常識になっていく。その積み重ねが歴史であり、その歴史は次への最終的な答えを探すためのデータだと僕は捉えているんです」。

日本製スーツケースブランドのプロテカが、今年で20周年を迎えるが、その歩みもいわば新たな常識のスタートを探す工程の積み重ねともいえる。その礎を担っているのが北海道にある赤平工場で、職人たちの弛まぬ努力と探究心の先にプロテカのアイテムがある。栗山氏もまた、同地にポテンシャルを強く感じているひとりだ。

「北海道は、ほぼ一つの国のようなもの。なにかを開発する能力や食べ物を作る力などを目の当たりにすれば、日本国内で自立できる可能性は、北海道がもっとも高いのではないでしょうか(笑)。そんな土地を本拠地にしているわけですから、世界に誇れる野球チームを作っていかなきゃいけないと強く思いますね」。

雄大な自然や独自の文化と歴史が世界から注目を集め、国内の食料自給率においては群をぬく。そんな場所だからこそきっと得られるものは少なくない。モノづくりにおいては、プロテカが十分にそれを示しているといえる。世界と結びつく場所だからこそ得られるアイデア、品質におけるグローバルスタンダードの底上げ、環境に留意したモノづくりへの意識の高さもまた、そんな背景が影響しているようにも思える。

エースラゲージ赤平工場

人のためを想い、アイデアが生まれ、
信頼が築かれる好循環

時代に消費者に寄り添い基準をアップデートさせていくプロテカの気概は、栗山氏も共感する部分だ。

「いろいろなアイテムを拝見させていただきましたが、正直驚きました。タテにもヨコにも開くの!? みたいな(笑)。確かに、スーツケースを開くときに、両方からアクセスできたらすごく便利。これまでは取り出すときに一度全開にしなければいけないものと思っていましたから。でもタテに開くと狭い場所でも必要な荷物だけが取り出しやすい。人の手助けをするために考えたことが新しい発明に繋がり、それをまたみんなが愛する。その好循環は理想的ですよね」。

一般的にスーツケースは開く方向が決まっているものだが、それにより使用法に制限が生まれるのも事実。360シリーズはその常識に異議を唱え、模範解答を提示する。結果、タテにもヨコにも開くことのできる斬新な構造は、内部へのアクセスのしやすさを可能にした。今回新たにアップデートした商品の内部へ目を移すとトップ側に施した折り畳み自由な仕切りや、ボトム側に搭載した拡張機能付きの内装仕様が収納の選択を広げてくれる。まさに、スーツケースのさらなる進化を体現した新シリーズである。

タフさ、形、軽さ、が旅の相棒に求める
三原則

昨春に限らず、北海道日本ハムファイターズの監督や選手時代にも遠征やキャンプなどで国内外を飛び回ってきた栗山氏。そんな彼がスーツケースに求めるものは主に3つ。

「まずは、とにかく丈夫さですよね。引退してすぐに取材へ行かせていただくことになったのですが、僕の荷物がなくなるハプニングがありました。最終的に戻ってはきましたけど、中のモノが破損もなく無事だったので安心したのを覚えています。それに形。球団では極力移動時にひとつのトラックで選手の荷物を動かしたい。ですから、積み込みやすい形や規格を統一することは重要なんです。あとは、今でも国内外をよく行き来していますからその機動力を支える軽さも大事ですね」。

プロテカは、そんな声と真摯に向き合い、全力で応えてきた自負がある。実際、北海道日本ハムファイターズとは長い付き合いで、遠征やキャンプを陰ながら支えてきた。ただ、栗山氏はプロテカをバイプレーヤーとして捉えてはいないという。

「旅のお手伝いをしたいという、いわばバイプレーヤー的な思いをプロテカのメーカーの皆さんは抱いているかもしれませんが、モノ自体が運ばれなければどうにもならないわけで。ある種主役とも受け取れますし、その存在はとても重要です。僕は日本代表メンバーを選ぶうえで守備や走塁のスペシャリストを先に選びました。勝負として勝つために、彼らは絶対に欠かせなかった。要するに、仕事で実務的にもっとも必要な部分は当然ありますけど、そこを安心して任せられる存在が必須なんですよ」。

そして、静かで滑らかな『サイレントキャスター®』や車輪を止めることができる特許取得の『マジックストップ®』といったプロテカならではの標準装備を見るにつけ、日本らしさが前進を生み、世界のトップになれる可能性を秘めていることを実感させられると栗山氏は話す。

「ここ最近、日本は少し元気がないと言われていますけど、人に寄り添えることだったり優しさだったりを備えた日本は世界のトップになると、僕はどこかで思い続けている。だからどうしても世界を相手に勝ちたかったんです。プロテカも、そんな素養を備えていると個人的には思いますね」。

旅の時でも忘れない、
栗山流着こなしの美学

カジュアルスタイルでの撮影は普段あまりないという栗山氏。「このままアフリカへ行きそうじゃないですか。」と、笑顔でスマートに着こなしてくれた。

そして、栗山氏といえば着こなしがお洒落で、昨年はベストドレッサー賞も受賞されたほど。ただ、それについては「たまたまです」と苦笑する。

「おそらく世界一になったことのインパクトが審査員の背中を押したのでしょう(笑)。基本的には相手に嫌な思いをさせないことが大前提。人と人が会う時というのは、自分はこれが好きだから、みたいな話じゃないと思うんですよね」。

ファッションはつい自分本位に考えがちだが、相手への配慮を前提にするあたりは実に栗山氏らしく、その奥には着こなしの美学も透けて見える。

「奇抜な格好で目立とうとするのでなく、人と同じ格好をしていながら目を引くような存在にならないと意味がない。これは選手にも言っています。中身や立ち居振る舞いの問題もあるかもしれませんが、その方が僕は格好いいと思う。野球選手っぽく見られるのは昔から苦手だったんですよ(笑)。相手にこの人と話したいと思ってもらうことを考えれば、自然と袖を通す物や着こなし方も定まってきますよね」。

プライベートと仕事における境界線について話を向けると、「プライベートの時間は必要ない」と語り、「だってヒリヒリしないし面白くないでしょ?」と一笑。栗山氏の活発さや向上心は青天井である。そんな彼だからこそ、シンパシーを感じるプロテカに期待を込める。

「所有者の快適さはもちろん周りへの配慮も考えたモノづくりを行っているプロテカのアイテムは、もしかすると人のあり方までをも教えてくれているのではと僕は勝手に思っています。ニーズに応え、皆さんの想いを形にするって大変ですが、それを続けてこられたからこそ、その先まで期待してしまう。ぜひ今後も我々を驚かせてほしいですよね。野球選手の使命もファンを驚かせることなので、彼らと共に僕も負けずに頑張ります」。

栗山氏の、そしてプロテカの挑戦はまだまだ続く。

プロテカのハイスペックラインとして名高い[スタリア]シリーズ。優雅さすら感じさせる鏡面ボディに洗練を湛えたデザインが秀逸である。そして昨年、アップデート版として登場したのがこのスタリアCXR。機能の充実は言うに及ばず、持ち前のシャープな趣に磨きがかかり、パーツカラーの変更や人間工学に基づいたハンドルは、さらなる旅の楽しさや快適を後押しする。

栗山 英樹(くりやま・ひでき)

1961年、東京都生まれ。1984年にドラフト外でヤクルトスワローズに入団し、堅実な打撃と鉄壁の守備でチームに貢献。引退後、解説者を経て2012年には北海道日本ハムファイターズの監督へ。1年目にリーグ優勝を成し遂げると、2016年には10年ぶり3度目の日本一を達成。2021年に監督の席を退いたのち野球日本代表の監督に就任。2023ワールド・ベースボール・クラシック優勝へと導く。そして今年、日本ハムファイターズのチーフ・ベースボール・オフィサーに。チーム編成に加え球団運営にも尽力する。

快適な旅へ誘ってくれる多彩なラインナップ

あらゆる面で変化が訪れ、それを引き金に働き方やライフスタイルが多様化の一途を辿る世の中だ。その時代性に、プロテカは独自の機能とバリエーションで応える。小旅行にロングバケーション、そして出張などなど。様々なシーンでの活躍を確約するアイテムたち。ここでは、先に紹介した2モデルに加えおすすめの4シリーズをフィーチャーする。

国際線、国内線(100席以上)の機内への持ち込みサイズに対応しながらも、短期出張&旅行をフォローできる大容量の確保を実現した人気シリーズ。その最新モデルでは、特徴的なフロントポケットはさらに進化を遂げサイズを拡張。物の出し入れのしやすさだけにとどまらず、PC(13.3インチ)、A4サイズのクリアファイル、各種ガジェットや手帳に名刺入れなど、あらゆるビジネスツールを受け止める懐の深さを披露する。もちろん、ワンタッチ操作で車輪を固定できるキャスターストッパー®など、基本装備もしっかり実装。

古来より衣類を収納する際に用いられてきた柳行李。[コーリー]シリーズは、その佇まいを想起させるような3軸織模様をモダナイズしたパターンが独特だ。趣深くも新鮮な見た目はデザイン性にとどまらず、全体的な強度のアップや傷の目立ちを和らげるリブデザインの実現にも貢献する。そこはかとなく醸す風情を大切にするかのごとく、キャスター&ホイールは静かな走行を実現。手にすんなり馴染むグリップ、抗菌・抗ウイルス加工済みの内装生地などからもジャパンメイドの真髄が感じられる。

荷物はひとつにまとめることで、佇まいも立ち居振る舞いもがぜんスマートに。本シリーズはその理想を可能にする。スーツケースを立てたままでも荷物が取り出しやすいフロントポケットは、空港のラウンジで過ごすひとときや移動時間をしっかりサポート。そのうえ、内部のファスナーを開けば、裏側の本体収納部へもアクセスできるという気の利きようだ。37、62、74、94リットルの4サイズで展開されているが、その旨味は容量が大きくなればなるほどより実感できるに違いない。

移動に苦慮する要因で大半を占めるのはやはり重さ。それをクリアするだけでもストレスは大いに軽減される。[トリアクシス]は、驚異の軽さを実現したシリーズ。となると、耐久性が気になるところだが、本体素材にポリプロピレンを採用したことで強度もカバーした。その軽さと丈夫さを高次元で両立させたところに、長年国産スーツケースを作り続けてきた矜持が感じられる。全面にあしらわれた小気味いい幾何学模様も粋。心地よい旅を提供するポテンシャルは十分だ。

制作:読売新聞社ビジネス局